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探訪・論理の匠

論理の匠 vol.7

~如水館中学・高等学校 森靜先生~

生徒を夢中にさせる"論理の白熱教室"(3)

生徒同士の"ディスカッション"

森 次の段落の冒頭に挙げている日本人の大学生の話は、具体例ですよね。筆者がこれまで取り上げた話題に関連して『現代の日本の大学でもこういうことがありましたよ』ということを示してくれています。

論理エンジンサンプル

森 そして、次の段落で、漢文学者でもあり作家でもある中島敦の例が挙げられていて、前の段落とはイコールの関係でつながっています。現代の日本の大学生と明治生まれの文学者である中島敦の間に、共通する何かがあるのでしょうか?Eさん。

 
 

Eさん …抑圧された人々の作品に感情移入することは難しい…?

森 "感情移入することは難しい"っていうのを抜き出してくれましたね。でもその前に、"学生のひとりがとまどったようにいった"と書いてあるよね。つまり、いまDさんが抜き出してくれた箇所、ここはかぎカッコがついてないけど、具体例として挙げられた日本の大学生が話した会話文ですよね。つまり具体例の一部であって、この具体例を受けて、『これはどういうことですよ』って説明してあるはず。具体例を言い換えた筆者の主張を抽象的に述べている箇所があるはず。そこを探してほしい。言い換え、大事だよね。

 

そして、次の段落にある『筆者の主張』を抜き出すよう促すのです。

論理エンジンサンプル

 如水館中学・高等学校では、中等部で『論理エンジン』が採用されています。高校の授業でも、随所に『論理エンジン』で登場する論理的関係を説明するキーワードをちりばめた解説と黒板に示された構造図により、段落相互の関係が浮き彫りにされていきます。

森 じゃあ、これ以降は宿題にしますけれども、日本の大学生の特質といえる箇所に線を引いて、思いっ切りディスカッションしておいてください。テキストはどんどんよごしてくださいね。答えにぶち当たって、進めなくなったりしたときには、お手伝いをします。みんななら十分力があると思うけど。じゃあ、今日の授業は終わりましょう。

 そして授業が終わり昼休みに入るのですが、なんと教室のあちこちで生徒同士のディスカッションが始まったのです!

 

 先生はすでに教室から退出されたにもかかわらず、生徒たちは先ほどの授業の熱気そのままに、それぞれに意見を挙げています。皆、自分の考えを言いたくてたまらない感じです。「ここは『具体例=【A´】』で、この【A´】が『一般化=【A】』されるのはこの部分だよ」というふうに、『論理エンジン』の手法が伺える説明も聞こえてきます。真剣な中にも笑い声が飛び交う活気あふれる様子は、さながら"論理の白熱教室"といった趣を呈していました。

 

 知的好奇心をくすぐるような発問と、文中の根拠を的確に示す明解な指導法、そして生徒の笑顔が印象的な授業でした。

 

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