論理の匠 vol.7
~如水館中学・高等学校 森靜先生~
生徒を夢中にさせる"論理の白熱教室"(2)
"論理"を使った文章解析
森 前置きはこのぐらいにして、本題に入っていきましょう。『越境する知』の冒頭では、スイス人の母とインド人の父をもつ女性としてイギリスで生まれ育った小説家であるメイラ・チャンドのことが具体例として挙げられていましたね。チャンドという一人の人間の中で対峙し合うものは何か、見極めていきましょう。では、前回お渡ししたプリント、『対峙』の構成図を出してください。
森先生は、文章の構造を理解させるために、生徒に構成図を書かせています。あらかじめ構成図の骨格が示されたプリントの空欄を埋めていくところから始め、生徒が自分で構成図を書けるようになるまでトレーニングを繰り返すそうです。


森 今は図の空欄を埋めるトレーニングの段階ですが、いずれは何もなくても、文章の構造を頭の中で描けるようにしていきましょう。 ……それでは、チャンドのこのような複雑な出自をふまえつつ、次の文章に移ります。
森 「非西洋の側から物語る視点を持っているにもかかわらず…に帰結させてしまうのだ。」何に帰結してしまうのか?すごく長いワン・センテンスですが、この一文の中でフラッグが立っている語句を見つけることができれば、たとえ「父権的専制」という語句の意味がわからなくても、この一文は頭に入ってきます。フラッグが立っている場所はどこ?線を引きましょう。

森先生は、文章を読み解くために重要となる箇所を「フラッグ」とよび、線を引かせていきます。
森 ……接続詞を大事にしましょう。これはもう、セオリー中のセオリーだよね。「にも かかわらず」。ここ、思いっきり手を差し伸べてくれているよね。「非西洋の側から物語る視点を持っているにもかかわらず…に帰結させてしまうのだ。」長い一文ですが、これがあるから、もう何も考えなくても次にどういった内容が続くかわかります。D君、「にもかかわらず」何でしょう?
Cさん 非西洋の側から物語る視点を持っているにもかかわらず…イギリスで育ったから西洋的な考えに帰結してしまう。
森 そう。そこに帰結してしまうよっていうことだよね。父権的何とかっていう難しい語句がわからなくても、「にもかかわらず」より前に書いてあることとは逆のことが書いてある、ということが判断できるよね。

何となく読んでいては意味を把握することさえ困難な文章でも、先生のいう「フラッグ」、今回の場合は接続詞に注目させることにより、長い一文の論理構造が整理されていきます。


