論理の匠 vol.2
~大阪高等学校・北村恭崇先生~
生徒の注意を引きつけ続ける、視聴率先生の劇場型授業とは? (2)
授業展開

何はさておき、早速クラスをのぞいて見ましょう。
北村先生はまず、約1,000字の評論文が書かれたオリジナルプリントを全員に配り、一斉に各段落の重要な個所にそれぞれラインを引かせていきます。そして4分経過後、ぴたりと手を止めさせ、各段落の要点について、一人ずつテンポよく、多くの生徒を当てて聞いていくのです。
北村 ……ということを第四段落は言っています。さて次、これまでの繰り返しになりますが、第五段落はどう考えよう?先ほどと一緒だからA君。
A君 ……
北村 5、4、3、2……
A君 「自然プラス人工物」である、という新しい「文明」の理念が、どうしても必要となる、と。
驚きのカウントダウン。
これには集中せざるを得ないでしょう。
北村先生は、「“しかし”がありますね。逆三角形、ついていますか」「“例えば”にカッコがついていますか」等と、文章構造を見分けるポイントに、従来の指導通りマークが徹底されているか確認を取りながら、各段落の要点を生徒の答えから導きだし、最後はそれら要点をまとめ、文全体の要約を板書していきます。
北村 第一段落に線を引っ張ってもらったところが、結局、そのまま何回も形を変えて繰り返されているわけです。主張は形を変えて繰り返されるということを、これまで『論理エンジン』を通して話をしていますね。……一番最初に主張を持ってきて、最後にもう一度まとめるという構文になっています。続いて語句に行きます。
続いて語句に行きます?
あのマシンガンのような文章読解の直後に、息もつかさぬ語彙テスト。テスト後、2分半の間に、8人の生徒を次々と立たせ、ランダムに指定した語句の説明をさせていきます。
北村 はい、じゃあ、始めますね。そうしたら、B君。はい、立って。
(生徒が立つ)
北村 はい、3番。
B君 回避。さけること。
北村 はい、OK。はい、C君。
(生徒が立つ)
北村 はい、6番。
C君 含蓄。含み持つこと。
北村 はい、OK。はい、Dさん。
(生徒が立つ)
見つめる記者も「次は自分が指されるのでは?」と、とてもじゃないが、のんびり構えていられません。
北村 そうしたら、次、行きますよ。論理エンジンを開いてください。
読解→語彙→論理エンジンと、数分単位で目先が変わります。生徒は集中力を保ちながら、論理エンジンにスッと入っていきました。
「相対的」の説明では、自分の身長とクラスの男子2名の身長を引き合いに出したり、手元にある文房具で「具体と抽象」の説明をするなど、身近なたとえにより、難解な用語のイメージもつかみやすかったことでしょう。
もちろん北村先生のことです。解説の中でも、「他にイコールの関係になるのは何がありましたか? 何個か挙げましたよ。」と、派生した質問を生徒にポンポンあてていくので、決して油断ができません。
予習段階で生徒からテキストを一旦提出させることにより、多かった間違いに目を配り、それについての解説を厚くする効率の良さも、印象に残りました。

『論理エンジン』の解説が終わると、すぐさまレベルクリアテスト。当然、時間制限付き。そしてタイムアップの声とともに、北村先生は、すぐに赤鉛筆に持ち替えさせ、解説に入っていったのです。

