論理の匠 vol.5
~志桜塾代表 長谷 剛先生~
最強のプロ国語教師は、平成の吉田松陰だった
- 第3部 心が変わると……。国語はカンタン-
否定語は理論概念

長谷 実際のところ、対比の使い方も、確かに“対比”ではあるのですが、概念としては難しいのです。例えば何かを説明しようとしたとき、インタビュアーさんという人間を説明するときに、「長谷じゃない」という言い方は正しいのか。
これってね、結構面白くて、難しい話なんですけど。
―― 言われてみると……難しそうですね。
長谷 よくマーク問題で使われるのです。否定を使って、それが答えになる設問が。
でも、本質的な話を言うと、否定語というのは理論上の言葉であって、本当は人間の脳の中には否定語という概念は存在しないんですよ。
―― ほう。
長谷 例えば、今、「ここにコップがないよね」と言っても、思い浮かべるのはコップなんですよ。
―― なるほど、そうですね。
長谷 だから、人間は否定というか、“ない”という概念が考えられない動物なんです。
話はそれますが、テニスのときに、「できません」、「無理」と言う生徒は当然伸びません。経験では分かっていたのですけども、この否定語の話を聞いてからは、より納得できるようになりました。
頭の中で、1日、本当かどうか分かりませんけども、3万回ぐらい、人間は選択すると言います。それなのに、そもそもない概念なのに、「どうせ、無理だし」と、否定語を使い続けると、脳としても大変な負担で、否定語がずっと蓄積されていき、いつのまにか、パソコンでいうとメモリーを全部食ってしまって、動作不能に陥るらしいんですね。
実際のところ、設問でBではないのがイコールAになっているときっていうのは、
結構難しいんです。生徒は混乱するんです。
―― 混乱しますよね。
長谷 単純なのですが、やっぱり否定というのはすごく注意して扱わないといけない。
―― そもそも人間の脳の概念にはない概念だからなのですね。
長谷 はい。それは理論概念だからです。

