論理の匠 vol.5
~志桜塾代表 長谷 剛先生~
最強のプロ国語教師は、平成の吉田松陰だった
- 第3部 心が変わると……。国語はカンタン-
センスは一瞬で変わる
長谷 「どこかに理想の国語がある」って言われるんだったら、その理想の国語を僕もやりたいのですが、いわゆる国語の先生がやる理想の国語では数字が出ないんですよ。その先生にとっての理想の国語だから。
だから、大事なのは生徒にとっての理想の国語で、絶対的に私の教え子の方が読解力は高いと思います。
―― 先生のお話を伺っていると、テニスのコーチ経験がかなり活きていると思うのですが、生徒に対して一律的じゃないですよね。
発達段階とか、その生徒の欠けている部分であるとか、名医のように診立てがすごくうまいと思うんです。この子にはこの処方せんを与えてあげるべき、という判断がズバ抜けて的確なのではないかと思います。
だから、わずか12月の末から、苦手な生徒もセンター試験に軽々合格させてしまうエピソードも生まれてくる。
長谷 それは生徒が良かったので、偶然結果が出ただけです。でも、やっぱり、良いものを持っているんですよ、みんな。

―― はい。
長谷 スポーツで言うなら、心肺能力が上がり、筋肉が上がり、コーディネーション能力が上がっていって……という基本的な流れはもちろんあるんですけども、でも、現実に――今、テニスコートだとすごく分かりやすいんですけども――絶対的な筋肉量は変わらないのに、1、2分でボールの音が変わるんです。指導によって、「バーン」っていう、ものすごい音に変わるんです。
その理由は何かと言ったら、元々生徒は持ってるんですよ、筋肉を。
―― なるほど。
長谷 本人がボール打った後に、「えっ、おれの手じゃねえ」って思うぐらい音が変わるんです。そういう経験を僕もできるようになってきて。
最初は、プロコーチに教えられて、「テニスはセンスなんだから、じゃあこのセンスを変えてあげよう」って言われて、自分のボール音が「パーン」って変わって――、センスが数秒で変わる体験をしたんですよ。
だったら、オープンスキルである国語というジャンルも、きっとできるはずと思ったんです。
―― はい。
長谷 今、僕の感覚で言うと、やっぱり少し話し込んでいって、生徒を引き込んで、90分弱かな、かかってしまうんですが、衝撃が起こる子が何人も出てきてくれるんですね。でも、それはやっぱり元々その子が持っているカラーなんですよ。
―― なるほど。
長谷 何も変わってないんです。
―― 面白いですね。一見論理って、高尚なテクニックのように捉えられがちですが、長谷先生の手にかかると、多分生徒は、同じように目の付けどころを教わっても、ものすごく簡単に思えるのではないでしょうか。
長谷 現実、簡単ですよ。論理っていう言葉と、僕がよく使うのは、関係ですね。
―― はい。
長谷 だから、関係性がきちんと捉えられている人は、やっぱり論理的です。
イコールがあって、因果があって、対比。

