生徒を変えることで教師を変える

加藤 私は、教師を変えるために一番効果的な手段は、教師自身を変えるのではなく、まず生徒を変えることだと思っています。生徒が変われば、教師は変わらざるを得ないんです。先ほどお話ししたように、授業は学校教育の核であり、ベースとなるものです。だからこのベースのクオリティを確実に上げていかなければならない。そのためには授業だけでなく、特別活動やHR活動など、いろいろな場面をとらえて生徒を変えていく、つまり育てていくことが非常に有効だと思います。
荒れた生徒が多い高校は、その生徒に合わせた指導ノウハウをもった教師が必要です。逆に、そういうノウハウをもっていなくても自然に、あるいは必要に迫られてそういうノウハウを身につけていく。
同じように、例えば東大に入りたいという生徒や、もっと勉強したいという生徒が増えてくれば、当然それに合わせないとまずいなと教師は思います。生徒に馬鹿にされては困ると当然思うわけです。
最初は、あまり努力もせず虚勢だけ張って何とかやっていこうと思っていても、生徒が賢くなれば賢くなるほど、あっという間に足元を見られるので、そうなるとやはりまずいなと思うわけです。そして、生徒の前に立つためにはどうしたらいいのか、という風に当然考えるようになるのです。教師が自らのことを「考え始め」ればしめたもんです。
また一方で、教師はやはり論理的に話すべきだと私は思います。感情語で話している教師の言葉は伝わりませんから、やはり論理的に話せるように教師を仕上げたいと考えています。
今の理屈で言うと、教師を論理的にするために手っ取り早いのは、生徒を論理的にするということなんです。生徒が使う言葉が論理的になってくれば、教師も「おっ?」と思うわけです。
教師に対して敬語を使わず友人のように話しかけてくる生徒が多ければ、「なんだこの生徒は」と思いつつも、ラフで楽な人間関係を構築してしまう人も出てくると思います。一方、質問一つしにくる、あるいは解答一つ書くときにも、きちんとした言葉で生徒たちが聞いてくる、書いてくるということになると、教師もそれ相応の対応をするようになるわけですね。
そういう風に、生徒を変えることによって、教師を変えていくという学校改革を目指しています。手段と目的とが一致している教育活動、それを学校改革につなげたい。
―― ある意味、「プロジェクトX」みたいな感じがしますね。
この学校は生徒の雰囲気が違うというのが、授業を見た正直な第一印象でした。もちろん生徒のレスポンスだけではなくて、授業における態度もそうです。本当に聞く姿勢、学ぶ姿勢が出来ているんですね。
雰囲気がどうして違うのかという疑問、それが今のお話で全て氷解した気がします。

