論理の匠 vol.5
~志桜塾代表 長谷 剛先生~
最強のプロ国語教師は、平成の吉田松陰だった
- 第2部 オープンスキル、クローズドスキル-
ほんとうの進路指導
長谷 大学も、いま残念なことに、ある程度輪切りはされてくるので、その狭い空間で戦って勝てば、合格って実は簡単に出来るんです。それを知らずに、常に、全員が同じ目標に向かって、同じゴールに向かって走るっていうのは、やっぱり子供にとってはしんどいですよ。
―― そうですね。
長谷 「今、この瞬間に、10秒50で100メーター走れって言われても、無理だよ。それは目標としてあるかもしれないけども、今16秒の子だと、そもそも筋肉から変わらないといけないのに」って、良く言います。
だけど、教育界というのは、本当にみんな真面目な顔をして、誠実な人間が「頑張れ!」って周りで応援するんですよ。
―― なるほど。
長谷 悪意がないんです。しかも親も、先生も、ものすごい涙を流して、「頑張れー」って、みんなが応援するんです。でも、そんな筋肉がついていない、運動の機能も知らない子が、10秒とか11秒を切れと言われても、急には絶対に無理です。
―― はい。

長谷 だったら段階を追って、いま、この子には何をどう教えたらいいのか、というのを適切にアドバイスしてあげて、彼らからやるように仕向けてやらないといけないのです。応援しているみんなには、本当に悪気はないんです。心の底から拍手しているんですよ。
―― 私も含めて。
長谷 全員が。親も。
―― 酷ですね。
長谷 だと思いますね、見ていて。
だから、「そんなこと、どうでもいいじゃん」というところから、私は授業を始めます。
進路指導も、確かにそれは目標としてあるかもしれないけれど、だったら「その目標に向かって、今何をしたらいいか」についてしっかり考えさせてあげる。そして、実際のところは少しだけ背中を押してあげるという形でやれば、本当に子供って、「これでいいんだ」と思った瞬間に、すごく良く伸びますよ。
だけど、こちらの内心としては、絶対に走らせてやると思っています。
「10秒切りたい」って生徒が言うんだったら、「10秒切るためのプログラムは自分が作るよ」って内心では思っています。
―― なるほど。
長谷 だけど、そのために、周りが「頑張れ、頑張れ」と言ってつぶすようなことはしたくないですね。それをやってもうまくいかなかった経験あるので。
現実、私の教え子にも、私からそういうふうな仕打ちを受けて、やっぱり嫌になった子もたくさんいると思うので。うまくいった子は、今こうやって私のブログにコメントを書いてくれますけれど、その分、同じように、多分うまくいかなかった子もいたので。
僕にとっては、「そういう子がゼロになる」、というのが最終目標かもしれないですね。
