論理の匠 vol.5
~志桜塾代表 長谷 剛先生~
最強のプロ国語教師は、平成の吉田松陰だった
- 第2部 オープンスキル、クローズドスキル-
国語に要求されるスキルとは

―― 今の魔術的な授業を拝見すると、そのお言葉はすごく意外ですね。
長谷 それからは、出口さんをはじめとして、予備校で受験生が解くような問題集をとにかく片っ端から解きました。少しずつ、「現代文というのは、もしかしたらこういう風なものかもしれない」という形がおぼろげながら見えてきたのですが、やっぱり、それが形になったといえるのは、本当、ここ数年ですね。自分が理解したことを、きちんと目の前の生徒に伝えられるようになり、そして、生徒の驚きに変えられるようになったのは。
東大・京大に合格した生徒をはじめ、沢山の生徒を見て、試行錯誤した末です。
―― 「国語の勉強の仕方が分からない」と言われる理由の一つは、おそらく、教師と生徒との間に伝わる言葉、共通言語が少ないからだと思うんですよ。
数学や英語でしたら、「文法・構文的にここが間違っている」とか、「これは公式とは違うね」等と、生徒に間違いを指摘しやすいのですが、国語は体系的に教わらないので、生徒が書いた文章がどのようにおかしいかを伝える際に皆さんご苦労されると聞きます――長谷先生がよくおっしゃる、“イメージをどう共有するか”という問題を、どのようにして解決されたんですか。
長谷 国語は、よくそういう風に曖昧だと言われますね。よく言うのですが、さあ模試を今からやりましょう、という時に、「何を見て解いてもいいよ。好きに見て」って生徒に言うと、英語・数学なら、辞書や公式集を見れば、何とかなりそうですよね。じゃあ、「はい現代文、何見てもいいよ」となると……。
―― 生徒さん、困っちゃいますよね。
長谷 「漢字しか先生、書けないんですけど」って(笑)。
では、テニスコートに立ったとき、「テニスが上手くなる本を持って入ろうよ」って
生徒に言うと、「それは先生、うまくなりません」って言われる。
―― そうでしょうね。
長谷 英語、数学のときには、いろんな参考書とか、辞書とか、知識物をたくさん持って入ればできるって考える。
でも運動。野球、サッカー、バスケ、バレー、テニス。「参考書持って入ろうよ」と言っても、誰も持って入らないし、「そんなことじゃうまくならない」って、みんな分かっている。
結局、要求されるスキルが、それぞれ全然違うんですね。それがテニスや国語のようなオープンスキルと、英・数のようなクローズドスキルなんです。

